つみたてNISA(積立ニーサ)でバランスファンドはおすすめできるか



つみたてNISA(積立ニーサ)でバランスファンドはおすすめできるか

「つみたてNISA」でも取り扱いがあるバランスファンド、これには賛否両論あります。その賛否を紹介しつつ、自分の立場も明らかにしていこうと思います。

山崎元先生による「バランスファンドは本質的にダメ」論

「バランスファンド」とGoogle大先生で打ち込むと、ダイヤモンドオンラインの下記のような記事が上に出てきます。

「バランスファンドが本質的にダメな理由」(2015.08.12ダイヤモンドオンラインより引用)

要約しますと山崎先生のご批判は以下の通りです。ちなみにわたしは山崎先生と「日本の借金について」と題した番組で若いころに共演しており、大変敬服しております。おすすめの書籍一覧にも山崎先生の作品を載せさせていただいております。良識派とわたしは思っております。

  1. 運用管理(販売)手数料が相対的に高い
  2. リスク管理が難しい
  3. アセットアロケーションの根拠が不明

それぞれ見ていきましょう。

訂正

山崎先生ですが、下記の記事のようにごく最近もバランスファンドについての記事を書かれており、依然批判的であることが伺えます。

初心者向きはウソ。バランスファンドの7つの注意点(2017.11.21楽天証券「トウシル」より引用)

ここでの批判も並べておきます

  1. リスクがみえづらい

  2. アセットアロケーションがわかりづらい

  3. 運用者にかかる期待が大きくなる(信用ならない)

  4. 課税が優遇される口座(NISA)で債券を入れるのはムダ

  5. 債券を持つムダ(手数料もさらにムダ)

とのご意見です。それぞれみていきたいと思います。

1、運用管理手数料が高い

はたしてそうでしょうか。トータルコストでみても、ほかの単独商品(TOPIXなど)と大きな差はなくなっています。

債券にわざわざ同率の手数料をかけることが馬鹿馬鹿しいとのことです。言っていることは「正しい」とは思うのですが、「初心者向け」に書いてあるのであれば、いっそのこと債券も含まれた商品を買うことにそこまで気を張る必要もないかと思います。債券は別々で買いましょう、という言い方ひとつで、初心者投資家は逃げてしまう恐れがあると思います。ワース、ワーストでないだけよいと私は思います。

2、リスク管理が難しい

こちらに関しては、「そのバランスファンドによる」というしかありません。山崎先生のご指摘のように、まるでファンドマネージャーにその潮目潮目をまかせっきりのバランスファンド、つまり株式や債券の配分を都度変えていくようなバランスファンドやアクティブのバランスファンドについては私もかなり批判的です。これはマルキール先生を信奉するものの一人として、私も大きく同意します。アクティブ型のバランスファンドには投資するべきではないとはっきり言えると思います。しかし、ファンドマネージャーの力が大きく影響しないようなeMAXIS Slim8資産バランスについてはどうかといわれると、はたしてそれは当てはまらないと思います。

また、リスク管理が難しいということについては、私の記事で以下のように書きました。

つみたてNISAをはじめる際に知っておくべきリスク許容度という罠

上記のように、そもそもリスクについて、しかも本当のリスクについて推し量ることができないのだと私は考えています。そのための強靭な体力(資金)と精神があるわけでもない個人投資家がほとんどで、だからこそ、ブログを見に来ていただいてるのだとも思います。

投資をはじめるならば、強い心が必要

3、債券を入れる無駄

これ自体には私個人は賛同しますが、外向けに、あらゆる人向けでいうのであれば、債券を入れるのは無駄ではないと私は思います。リスクリターン比(ここでいうリスクはリスク許容度の意味ではなく、暴落暴騰率)で見ても、株一本よりも債券を4割ほど入れた方が結果的に、暴落時にも落ち着いて行動できます。

これを、全体のポートフォリオでみて、様々な商品を自分でアレンジメントしている人ならつゆしらず、つみたてNISAで、投資の世界に足を踏み入れようとしている人にとって、債券の方が、株よりも安全資産、くらいの認識はあるはずですので、脆弱な心に一つ安心材料を与える意味でも、バランスファンドは優れていると思います。

おすすめのバランスファンド

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) 

日本、先進国、新興国のそれぞれの株式とそれぞれの債券の6資産と日本、先進国のREIT(不動産)の2資産の計8資産に12.5%(=1/8)ずつ均等投資します。信託報酬は、年率0.2268%とかなり低めに設定されています。

良い点としては、一定額をただひたすらに均等で割り振るので、マネージャーによる介入を極力避けることができます。これは分散投資にとってはありがたいことです。また、他の8資産均等型が安い信託報酬に下げても、eMAXIS Slimであれば、さらに値下げをしてくるということが商品の存在意義として盛り込まれているので、その点でも安心です。

懸念点としては、

8資産を均等に分けた場合に、その均等に分けた根拠が分からないという点です。

また、eMAXISは目に見える信託報酬は低く設定してきますが、実際フタを開けてみると運用の手数料が高かったりしてトータルコストがかさみます。その点は他のeMAXISにも言えるのですが注視していく必要があると思います。

世界経済インデックスファンド 

世界各国のGDP(国内総生産)比率を参考に日本、先進国、新興国の株式、債券の計6資産に分散投資し、株式:債券比率が50:50にしたファンドです。信託コストは他よりちょいと高めの0.54%、私は0.3を超えると「チョイ高い」と感じてしまうので、割高感がデメリットになります。(さらにトータルコストをみると0.637%(税込)となります。)しかし、文字通り「世界全体を買う。」ということに関しては、さきほどのeMAXISの弱点である、分散の根拠が明確(GDP比)です。リターンもよいので、多少管理費が高くとも「安心して全世界投資しよう」と思ったときにお勧めができる商品ではあります。

三井住友・DCつみたてNISA・世界分散ファンド 

株式40%、債券40%、リート20%の基本配分比率の低コストバランスファンドです。信託報酬は0.21%と、バランスファンド最安層です。うちわけは、日本、先進国、新興国のそれぞれの株式と、日本国債、先進国債券、為替ヘッジ付き先進国債券と日本、先進国のREITの計8資産となります。eMAXISとの違いはその配分で、あとは好みというレベルです。

【まとめ】 これから「つみたてNISA」を始める人にはおすすめする

バランスファンド。私は買ってませんし、持っていませんが、初心者投資家の方に、もしくはこれから「つみたてNISA」を買う人には、その心理的安全面からおすすめすると思います。

ただ、経済好き、投資好きの人には正直物足りないというか、その比率を決めて選んでいくのが趣味の一つにもなると思うので、そういう方にはおすすめできません。

以上です。

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